小林先生のお店では、小林先生ご自身が、直接、中国等からそういった生薬を買いつけているわけではなく、日本にある高度な技術を持った専門家たちが集まる問屋さんから、生薬を仕入れているのだという。そういった類いの問屋さんは日本全国に幾つもあるそうだ。そして、日本で、そういった生薬を栽培するという動きも、実際にはあるのだそうだ。しかし、地質の違いや、人件費の問題などもあるので、やはり中国等から仕入れた方が、安全でコストも抑えられ、その上、質の高いものを入手できる・・・というのが現状のようだ。
漢方薬には4000年の歴史があるそうだ。事の始まりは、ある日突然、この葉は、何々に効くとか、これはなんとかの病気に効くとか、そういう事を、突然、言い出す人物が現われたのだそうだ。或は、動物がそういった生薬らしきものを食べているのを人間が見て、それで、勘を働かせた地元住人たちが、そういった生薬を試していくうちに、漢方薬というものが広まっていったそうだ。
これからのシーズンは風邪が流行るので、それについても小林先生にお聞きしてみた。風邪を引いたら、とにかく温ったかくして休むのが一番なのだそうだ。汗をかくと風邪が治ると言われているが、それについては、こうもおっしゃっていた、コツは汗のかき方にあるのだそうだ。びっしょりと汗だくになるような、そういう汗のかき方では脱水症状になってしまい、かえって危険なのだという。そうではなく、しっとりと汗をかく程度が一番いいそうだ。適度なお水とちょっとの塩の摂取も必要だと思った。
漢方で風邪を見る場合、虚(きょ)と実(じつ)という見方もする。体力が足りない為に邪気を外に出せないのが「虚」で、逆に体外からの旺盛な邪気によって身体機能が阻害されるのが「実」ということのようだ。風邪薬などの新薬は、身体を冷やすそうだ。それでも、大抵の人は辛くて病院に行ってしまうのが現状なのだという。邪気と聞くと、もののけ? 生き霊? 妖怪? それとも何かのたたり? などと思いがちだが、そうではなく、身体を悪化させる邪魔なもの・・・ということのようだ。例えば、外からの邪気なら、風、火、暑、湿、燥、寒の6つで、内面の邪気は、怒、喜、思、憂、悲、恐、驚の7つある。これらが過剰になると問題が起こる。
(続く)