温泉はお湯の色が違うだけで、後はどこも大体同じ・・・っと、何となくそう思っていた。湯煙を立てて、ボコボコと吹き上がる源泉は、相当熱いんだろうなぁ~・・・と、私はそんな風にも思っていた。
ところが・・・だ。どうも、そういうことではなさそうだ。前回少しご案内したが、角屋旅館(新潟県五頭温泉郷の村杉温泉)の日本全国ラジウム温泉一覧表が、なかなか見やすい。この表を目にした時、「よくぞここまで調べ上げてくれました!」と、私はそう思った。
その表を見ていただくとわかるが、お湯がボコボコと湧き出している源泉の温度(泉温)が、各地てんでバラバラ。源泉はどこも熱いと、何となくそう思っていたが、実際はそうではなかった。
しかも・・・だ。温泉にどんなものが含まれているのか・・・といった泉質にも、色々あることがわかった。日本温泉協会によると、掲示用新泉質名としては、現在では10種類に分類されるという。その分類とは、単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、酸性泉、含よう素泉、硫黄泉、放射能泉の10種類。
難しい話はともかく、単純温泉の中でもpH8.5以上を「アルカリ性単純温泉」と呼んでいる。
飲める温泉水もあるようだが、浴用としてのアルカリ性単純温泉の適応は、自律神経不安定症、不眠症、うつ状態・・・と表示されていた(同協会参照)。つまりこの温泉は、うつ傾向の方向けの温泉・・・ということのようだ。
単純温泉は成分が薄いので、子供や高齢者でも安心して入浴できる「家族の湯」として知られ、アルカリ性単純温泉は「美肌の湯」としても知られている。
2013年1月9日のAERAdot.に、” 「単純泉はうつ病に効く」大学教授が温泉の効能を説く ” と題する記事が掲載された。温泉療法に詳しい国際医療福祉大学大学院の前田眞治教授によると、単純泉は刺激が少ないので軽視されがちだが、抵抗力が落ちた心身を癒やすには、ぴったりの温泉なのだという。
一方で、こんな報告もある。42℃以上の熱いお風呂に10分以上入ると、体に防御反応が起こり、その結果、体内の血液が固まる危険があるそうだ。つまり血液がドロドロになる・・・ということ。最新の研究結果でわかったと、前田教授が、あるテレビ番組(2016年12月の放送)でそうおっしゃっていた。心臓で詰まれば、心筋梗塞、脳で詰まれば脳梗塞・・・ということだと思うので、温泉であまり無理をしない方がよさそうだ。このことは、年齢に関係ないという。
こういった温泉が、ここ地球に存在したことに、自然のすごさを感じた。
現地入りする前に、ご自宅で一度、アルカリ単純泉を試されてみるのもいいかもしれない。
(完)