2014年のゴールデンウィーク明けに、石窯パンが宅急便で我が家に届いた。時は5月10日土曜日のよく晴れた日のことだった。そのパンは、岡山県倉敷市の「石窯パン工房 ぱんごーの」から届いた。我が家の注文の品だ。
まず驚いたのが、送ってよこしたその段ボール箱だ。外側に黒い文字で印刷されてあったが、丸みを帯びた文字だったのだ。男子高校生のお言葉をお借りして、その時の思いを表現するならこうだ、「え? なんか、かわいくね?」だ。「カワイイじゃん!」という意味だ。「カワイイじゃん!」とは「カワイイよ!」とか「カワイイね!」という意味だ。
その段ボール箱を開けてみて、私はさらに感激した。写真の感じからして、1個が円くて結構大きそうだったので、4分の1ずつの切り売りの中から色んなパンを少しずつ買ったのだ。実際に見てみると、思った通りで結構大きかった。そして、その1個ずつが、透明なセロファン袋に入れてあって、口が金や銀色のカラービニタイ(ワイヤー入りビニールひものこと)で「キュッ!」と締めてあった。締め終わった後のそのビニタイの左右の長さが、どのパンの袋も全部揃っていたのだ。シワひとつないセロファン袋の透明感といい、そのビニタイの留め方といい、すごくきれいだと思った。
パンが入ったそのセロファン袋の真ん中には、小さな白いシールが1枚ずつ貼ってあったが、そのシールにそのパンの名前がそれぞれに書いてあった。よく見ると、どのパンにも全て手書きで、しかも丸文字でパンの名前が書いてあったのだ。パンの丸みと丸文字が合ってると思った。
道中、ガタゴトと揺れて、パンがあっちに向いたり、こっちに向いたり、時には逆さにならないようにと、ところどころにクッションが入れてあった。私の記憶では、丸めた古新聞が2つ入っていたように思う。体育の授業で学んだあの「まえー、ならえ!」状態と同じで、箱の中のパンもきれいに並んでいた。何もかも、ホント見事だと思った。
本当にパンが好きな人に食べてほしいパンなのだそうだ。なんか分かる気がした。そのパンの箱の中には、作り手の心がそのまんま入っている感じがした。まさに夢、満タン! すごいパン工房だと思った。
「噛めば噛むほど小麦の味がする・・・」という、そこのお店のキャッチフレーズは本当だった。意外に思うかもしれないが、出来立てよりも、何日か置いた方が味が馴染んで美味しいのだという。この事も本当だった。これなら自信持って人にも贈り物として送れると思った。すてきな夢をありがとう!
(完)