【生活2】 ガス屋さんのおじさま、なんかカワイイ! 独り占めしたい! 羅漢果のケーキ

電気オーブンではなく、ガスオーブンがほしいなー、あったらいいなー・・・とずっとそう思っていたら、そんな矢先に、突然ガス屋さんから点検のお知らせが届きました。3年に1度の点検です。

当日我が家にやって来たガス屋さんの男性は、これまでの人とはずいぶんと雰囲気が違いました。どことなくニコニコしているのです。恰幅もよく、テイクアウトのお弁当なら3人前ぐらいペロリと一度に平らげてしまいそうな雰囲気でした。なぜか明るいんです。でも不自然ではない明るさでした。

「ピンポーン!」と玄関の呼び鈴を鳴らし、「どこどこガスです。本日点検に参りました!」と言ったので、急いで玄関に走り、玄関扉を開けました。玄関から廊下を通ってキッチンに入って来られ、すぐに点検がはじまりました。そんな男性の姿を初めて目にした時、私はなぜか最初から、とても好印象を持ったのです。

ガスのプロなので、点検が早いこと、早いこと。器械を使って「チャチャチャ」と調べ、あっという間に作業が終わりました。

すると、その男性はタブレットを出して、専用ペンでその画面を、慣れた手つきで操作しはじめたのです。

10代や20代の新人さんならまだしも、その男性はどう見ても、定年をとっくに過ぎた感じでした。器械ものをよくマスターされたな・・・って、内心そうも思いました。

そもそも私は、パソコンしか扱えないので、タブレット自体も珍しかったのです。

それで私は、「え、今、ガス屋さんはそういうのを使うのですね。すごいですね!」と、つい言ってしまったのです。

そうしたら、その男性は、「待ってました!」とばかりに、ニコニコしながら私にこう言ったのです、「パソコン操作が出来るようになれば、(会社から)再雇用すると言われてね。(出来ないのは)悔しいから、それでパソコン教室に通って、やっと出来るようになったんです!」と。

話の感じだと、随分長い間パソコン教室に通った感じでした。

その時、私にとって何がおかしかったかというと、その男性が「悔しい!」と言ったことだったのです。

だって「悔しい!」と口走ったわりには、顔は笑ってるわけですよ。笑っちゃ悪いと思い、私は必死に耐えました、その時。

きっと「すごいですね!」と褒められたことが、その男性にとってはうれしかったのかもしれません。

その男性は、私よりもずっと年齢が上ですが、でも私はその男性のことを、「なんかカワイイ!」って思ってしまいました。

好印象な人って、結構、ずっと心に残るものですよね。

その方が帰られた後、我が家のキッチンも、廊下も、そして玄関も、その男性の可愛らしいエネルギーでいっぱいになったんです。こういうガス屋さん珍しいですよね。

でもそれよりも、こういう男性を再雇用した会社もすごかったな・・・って思いました。見る目があるという意味ね。

数年先、またその男性が点検に来てくれたらいいな・・・って思いました。

(完)

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