【社会93】 実演販売の力はやっぱり大きい! ~スチームクリーナー~ アイリスオーヤマ 

街は、もうすっかりクリスマス色だった。3年前(2014年)のお話だが、私は近所のホームセンターに出かけた。そこは、とにかく敷地面積が広いこと、広いこと。解放感があって、なんかいいなぁー・・・と、いつも行くとそう思う。

店内に入ると、直ぐ目の前で、何やら実演販売をしている女性が1人いた。年齢は65歳前後かな・・・という感じだった。その女性の目の前には、テーブルが1台あって、その上に「ドーン!」と、汚れが目立つ家庭用のガスコンロが、1台置かれていた。

その時、立ち止まって見ているお客さんは誰もいなかった。なので、素通りでもよく見えた。私は「何かやってるなぁー」と思い、大型の買い物カートを押し進めるスピードを落としながら、ゆっくりと進んでいった。

その女性は、ガスコンロの金属部品を1つ片手に持ち、「シュー!」と音が鳴り響く噴射器で、汚れを落としていた。私はすぐさま「あ、テレビの通販サイトで見たことがある!」と思った。

そう、スチームクリーナーのことである。私が以前に見たそのテレビでは、洗剤も何も使わず、パワフルなスチームの力だけを使って、頑固な油汚れとかを落とせる・・・という内容のものだった。そんなことを、ふと思い出しながら、私は、一旦はその女性の横を通り過ぎた。必要な生活用品を自分の買い物カートに入れた私は、再びその女性の所に戻った。やはり気になってしょうがなかった。もうちょっと実演販売を見たかったのだ。

私は再びその女性の元に戻ると、最初は遠くの方で見ていた。そして、私はちょっとずつその女性に詰め寄っていった。私はそのテレビを見た時から、「暮れの大掃除とかに1台あったらいいなぁー、ほしいなぁー・・・」とずっとそう思っていたからだ。

近所の大手スーパーでも、もっとコンパクトで、似たようなものは売っていた。でも、ただ陳列されているだけで、その近くにモニターはあったものの、それを見ただけでは、何がどういいのか・・・が今一よくわからなかった。「ま、何も(買うのは)今日じゃなくてもいいっかぁー・・・」と思った。「今日は他に買うものがあるし、自転車で来てるから、そんなにあれもこれもと持って帰れないし・・・」と、そうも思った。そうやってずっと見送ってきた。

ところが今回は違う。その実演販売を見た後、私は「汚れがよく落ちますねぇー」と言って、その女性と初めて言葉を交わした。周囲に誰もいなかったこともあり、私は「チャンス到来かな・・・」と思ったりもした。

その女性とそんな些細な会話からはじまったのだが、これって、こうなんですか、とか、それってこうすればいいんですか? などと私があれこれ聞くものだから、最後には、その女性は実演販売をやめてしまい、私にあれこれと教えてくれたのだ。

本心を言えば、私もそのクリーナーを使って、その場で実際にお掃除を体験してみたかったのだ。でも、相手が一生懸命に実演販売をしているのに、それを中断させて、「私も操作してみたい!」などと、そんな事は言えなかった。

でも、その場には、相変わらずその女性と私しかいなかった。彼女がキッチン用のゴム手袋をはめていたのを見て、私はこう聞いてみた、「手袋してないと、そのお掃除は危ないですよね?」と。

すると、その女性は、スチームが直接手にかからなければ、大丈夫ですよ、というような事を言ったのだ。それで、「じゃ、私も少し操作してみたいんですけど、いいですか?」とその女性に聞いたのだ。彼女は、ちょっと驚きながらも、でもなんか嬉しそうだったのだ。私はその瞬間を見逃さなかった。

彼女から本体ハンドルを手渡されたその時、「やったぁー! 遂に(本体ハンドルが私の手に)来たぞ!」と思って、内心かなり喜んだ。

・・・と言っても、そのまま手渡されても、全く操作がわからなかった。それでここのグリップを握ると、スチームが出ると教えてもらい、その通りにやった。

そのグリップを握った次の瞬間、すっごい勢いでスチームが先端から飛び出したのだ。あまりの力強さに、グリップを握った私の手が、一気に後方へともっていかれた

すごいパワーだったので、たったこの1発で、「これはいけるぞ!」と、私はそう思った。案の定だった。

私はまずはテーブルにあったガスコンロの受け皿の部分に、ブラシ付きのノズルでスチームを、再び噴射してみた。その状態のまま、先端に付いていたブラシで軽くこすったところ、「シュー!」という音を立てながら、簡単に落ちるわ、落ちるわで、私はその威力に目を丸くした。およそ100℃高圧蒸気だけが出ていて、洗剤などは一切使っていないという。「こりゃ、すごいわ!」と思った。

キッチン回りとか、お風呂とか、ちょっと使えればいい・・・というのであれば、コンパクトタイプの方でいいと思いますよ、とその女性はそう言っていた。床や畳、天井など、大掛かりなところまで使いたいのであれば、オールマイティーに使えるキャニスタータイプの方がいいと思います、と教えてくれた。その違いは、本体の大きさが違うので、1回に使える時間も違ってくるという。それに、型番が違うものも売っていた。

ここが迷うところだった。

それで、私はその女性に、こう聞いてみた コンパクトタイプと大型タイプ(キャニスタータイプ)、それに型番が違うものも含めて、あなたはどのタイプのものを持っているのでしょうかと。

すると、彼女から意外な言葉が返って来た。なんと、彼女は全部持っていると言ったのだ。私は驚いてしまい、「え? 全部買ったのですか?」と、どうでもいい話だが、更に聞いてみた。

彼女の話によると、(実演)販売員になると、商品は支給されるんだそうだ。「なるほど、そういうことだったのかぁー・・・」と思った。

それで、私はこうも聞いてみた、「たくさん持っている中で、どれが一番いいですか?」って。つまり、どれが一番重宝していて、どれが一番使う機会が多いのか・・・という意味で、その女性に聞いてみた。

すると、彼女は、コンパクトタイプではなく、大型タイプキャニスタータイプを一番よく使うと言っていた。理由は、やはり、一度でオールマイティーに使えるから・・・と言ったのだ。「よし、それで決まり!」と、私はその時にそう思った。

後は、型番の違いも教えてもらった。その日は買い物の荷物が一杯で、自転車でここに来たこと、それに家族にも話したいから・・・という理由をその女性に説明し、そのクリーナーは買わずに帰った。

その翌日、その女性の勤務時間を狙って、私はまたそのホームセンターに行った。彼女を見つけると、彼女は相変わらず1人(お客さんが誰も見ていない状態)で、せっせと汚れを落とす実演販売をやっていた。

そっと近づいていって、「どうですか? (あれから)売れました?」と、聞いてみた。彼女は私を見て、「あ、来てくれたの?」という顔をし、何だか嬉しそうだった。たわいのない会話をした後、彼女が、「ご家族はどうでした?」と、私にそう聞いたのだ。「えぇ、なんか大丈夫そうだから、今日は買いに来ました!」って言ったのだ。

そしたら、彼女は、そりゃもう、この世のはじまりか・・・とも思えるぐらいに、満面の笑みを浮かべたのだ。彼女が私を見て、「二ッ!」と笑った時の金歯がまぶしかった。

でも、ここからが面白かった。

彼女は、その商品とは別に、無料で、これあげますよ、これもあげます・・・とか言って、お米から水道回りの専用洗剤から、ありとあらゆるものを私に持たせたのだ。「そんなに上げちゃって大丈夫なの?」と、こっちが心配するぐらいに・・・だ。ほんと面白かったぁー!

私が彼女を拝見してよかったのは、定年を過ぎているであろう年齢であっても、元気にせっせと働いていることだ。「今を生きている!」という感じがして、すごくよかった。決してね、上手いこと言ったり、売りつけたりしなかったことも、心証がよかった。普通の主婦っぽい・・・という感じもよかった。普通っぽいからこそ、逆に応援したくなってしまったのだ。こういう人を採用した会社側もすごいなぁー・・・って、私はそんな風にも思った。

それはそうと、大喜びしてそのクリーナーを買って帰った後、私は早速お掃除をはじめた。「よし、やるぞ!」という気持ちがないと、お掃除がでできない時もある。時にはお掃除に、億劫感を持つことさえある。

ところが、このクリーナーのお陰で、お掃除が本当に楽しくなってしまったのだ。そういう風に言っている人がいたが、私もそう思った。やはりよく落ちるしきれいになるのが早いからだ。すごいよぉー! 買ってよかったと思っている。

この時に買ったのは、アイリスオーヤマスチームクリーナーで、キャニスタータイプのものである。新しい商品の仕様を見た私は、「わずか3年で、随分進化したなぁー・・・」と思った。

家では、今年の年末の大掃除がもうはじまった。1日数時間ずつの大掃除で、2週間ほどかけて行っている。今年もこのクリーナーのお陰で、楽しく大掃除が進んでいる。

(完)

 カテゴリー : 社会 | 投稿日 : 2017年12月17日

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