【社会27】 好きで好きでしょうがない、なのにいつも・・・ ~学校と縁日~

福井の会場に集まったたくさんのお客さん達に向かって、斎藤一人さんはこう言い放った、「実は、私は中卒なんです・・・」と。とても明るい口調だった。中卒と言っても、斎藤一人さんの場合、大して学校に行ってなかったそうだ。だから、中卒と言ってしまうと、ある意味、学歴詐称になるんです・・・と、斎藤一人さんはそうも言っていた。学校でいじめに遭ったとか、登校拒否だったとか、そういうのではなく、それどころか学校が好きで好きでしょうがなかったんだそうだ。ただ、朝目が覚めると、いつもお昼だったのだという。私の腰痛はお蔭さまで、今現在9割まで治ったが、ユーチューブで初めてこのお話を聞いた時は腰痛がまだひどく、笑うと腰に響いて響いてしょうがなかった。とにかく笑いを抑えるのに精一杯だった。一人さんのお話はいつ聞いても楽しい。

私は子供頃、縁日が好きで好きでしょうがなかった。一番好きだったのが、屋台で売っていたひよこだ。ラッシュアワー時の寿司詰め列車のように、多くのひよこ達が段ボール箱の中でひしめき合って、ピーピーと鳴いていた。しかも、オスとメスがちゃんと仕切りで分けて売られていた。時々、ジャンプしてその箱からお隣のメスの陣地へと飛び込むオスもいた。すると、ダメだよぉ~・・・と言わんばかりに、そのひよこ売りのおじさんがひとすくいし、そのオスをオスの陣地へと戻していた。

ひよこのそのおじさんが、メスのひよこ達を指差して、こっちはメス、あっちはオスと、そう言った。メスは大きくなったら卵を産むよぉ~~~、とそのおじさんがニコニコ顔でそうも言ったのだ。「たまご・・・、うむの? わぁ~(ほしい! ほしい!)」と、私はその時そう思った。当時、メスは1羽300円で、オスは1羽100円だった。私はたくさんのひよこをしばらく眺めた後、迷わずメスを数羽買ってもらった。

その後、大切に育てていったら、立派に育った。黄色いモコモコとした羽毛が、段々水を弾く白い羽毛へと変わっていった。もう卵を産むか、いつ(卵を)産むのか・・・と、日々そう思うようになり、毎日が本当に楽しかった。

ところが・・・だ。にわとりの頭のところに、耳たぶのような赤い突起物が少しずつ生えはじめたのだ。つまり、メスではなく、全部オスだったのだ。だまされたぁ~・・・と言って、憤慨することはなかった。ただ、変だなぁ~・・・とは思ったが、でもそこがやはり子供でね、よくわからなかったのだ。箱に詰めて、近所の野原に連れていき、そこでにわとりを放すと、葉っぱをついばんで、片っ端から辺りをきれいにしていくのだ。一所懸命食べる姿も可愛かった。「帰るよぉー、こっちにおいでぇー!」と言って呼ぶと、本当にこっちに来るのだ。とても人間に懐いていた。だから、もうそれだけで充分だった。そんなこともあったなぁ~・・・と、今、懐かしく思う。

(完)

 カテゴリー : 社会 | 投稿日 : 2016年5月29日

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