唇から口腔内へ、そして今度はそこから全身へとその膨張感が転移した時、そしてその後になっても、私は自分に何が起こったのかちっとも理解できなかった。
そのまま何日か過ぎたある朝、普通に目覚めて窓を開けたら、景色はいつもと全く変わらないが、でも、なんか変だと気づいた。しばらく外を眺めていたら、葉っぱが生い茂る背丈の高い木に、何か透明な枠が見えはじめた。「何あれ・・・」と思った。何かが見えている・・・。でもそれが何なのかわからない・・・。気になり、更に見続けていたら、その透明な枠の外側に、徐々にピンク色の光が膜を覆ったかのように見えはじめたのだ。「オーーー!」と思った。
その同じ日に、緑と黄色の光も個別に見えるようになった。日を追うごとに、青や青紫、そして白い色の光も見えるようになったが、スカイブルーの光は見た記憶がない。光の三原色の原理からいくと、緑と青を合わせると、スカイブルーの光に見えるそうだ。
斎藤一人(さいとうひとり)さんの場合、白い光の玉が現れて、その光が色んな事を一人さんに教えてくれたそうだが、私の場合、そういった光が私に何か教えてくれるとか、何か声が聞こえるとか、そういうことは、今のところ一度もない。
(続く)