【霊的世界50】 本堂で初めてのお経 ~手が極限に伸びる~ 心寄せる霊がすぐそこにいた

私たち家族が、その初詣で初めてS先生(日蓮宗・ご住職・男性)にお会いした時に、私は最後に、こんな事をS先生にお聞きしてみた、「僧侶としての修行に、例えば、瞑想だとか、お経を読むとか、あるいは滝行とか、色々あると思うのですが、その中で一番霊的な力を感じるものは何ですか?」と。

すると、S先生は、お声をお出しにはならなかったが、首を1回、ゆっくりと縦にお振りになり、そしてこうおっしゃったのだ、「お経!」と。

「聞いたぞ! 聞いたぞ! 遂に聞いたぁー・・・!」と、私はその時そう思った。それと同時に、ちょっと意外にも思った。「瞑想です!」とおっしゃるかと思ったからだ。

そして私は更にS先生にお聞きしてみた、どんなお経を読まれるのですかと。するとS先生は、お経はお経でも、色々あるのですけれどもね・・・とおっしゃり、あまりそれ以上をお話になる感じではなかったのだ。

なので、少し間を置いてから、私は更にS先生に「私でもそのお経を読めるのでしょうか?」と、お聞きしてみたのだ。「そうですねぇー、まー・・・」と、S先生はそんな風にお返事されたように思う。私の意識が少しずつではあったが、S先生に詰め寄って行った。

S先生も、私がとても興味を持ったのをお察ししてか、S先生は微かに笑みを浮かべられて、そしてこう教えて下さった、「唱題プラクティス」というものがあるのですよ、と。お経とは、どうもこの事だぞ・・・というのが、その時の話の流れでようやくわかった。

私は瞑想が好きで、しょっちゅう瞑想を行っているが、放っておいたら、1時間過ぎても平気で瞑想を行っている。なので、お経はお経として、直にお尚さんに教えていただけるのなら、そういうチャンスは滅多にないし、是非やってみたいと思った。

じゃ、今「唱題プラクティス」を少し触りだけでも本堂でやってみましょうか・・・と、S先生がそうおっしゃってくださったのだ。私は「えーーー!」と思い、内心かなり喜んだ。初めてS先生にお会いしたその初詣で、「唱題プラクティス」まで行えることになったのだ。なんだかすごいことになったと思い、舞い上がる気持ちを「グッ!」とおさえ、トコトコと家族と一緒に本堂へ入って行った。

お経を唱える上での、簡単な礼儀作法等を、本堂で少し教えていただいた。とにかくS先生の真似をすれば間違いない・・・と思い、コツをつかんだら、後は一心に祈った。その唱題プラクティスで、20分位続けて祈ったように思う。

その祈り(唱題プラクティスのこと)が終わると、S先生はとても不思議なことを私におっしゃったのだ。S先生は祈っている間中、ご宝前で正座をされ、ずっと前を向いておられたし、S先生が動くことは一切なかった。勿論、本堂内で何か変わった様子も一切なかった。私はその時、S先生から数メートル離れた、右斜め後方で正座をして祈っていた。S先生は、その祈りの最中に、S先生の手が数メートルほど伸びたのだという。伸びたその手がぐるりとゆっくり左回りをして、私のところで止まると、S先生の手の平に乗り、今度はS先生の反対の手の平に移ると、再びゆっくり左回りをしながらご宝前へ戻り、その後ご宝前の中へと入って行ったのだそうだ。

私は「はぁ~?」と思った。最初、S先生が何をおっしゃっているのか、さっぱりわからなかったのだ。よ~くお聞きしてみると、ずっと私の傍にいて私に心を寄せていた霊が、今回の唱題プラクティスによって、ようやく向こうの世界へと旅立って行った・・・というのが事の真相だった。

どういうことかと言うと、数メートルも伸びたS先生の左手が、最初、私の目の前で止まると、私についていた霊がS先生の手の平に乗り、その後、今度はS先生の反対側の手の平にその霊が移ると、霊を乗せたその手が、更に左回りを続けながら弧を描き、ゆっくりとご宝前に戻った。そしてその霊はご宝前の奥へと入って行った・・・ということである。

そもそも初めての唱題プラクティスで、あまり死者や死後の世界のことを、あれこれと言ってしまうと、初心者は戸惑い、場合によっては恐怖に思うことさえある。でもだからと言って、唱題プラクティスの内容を、当事者に全く伝えないわけにもいかない・・・。S先生はそうご判断されたように思う。でも、その日はお正月三が日だったのだ。なので、S先生はあえてお言葉を最小限にして、当事者である私に、そのように説明してくださったのだと思う。

ともあれ、では一体、その霊とは誰のことなのか・・・だ。その霊とは、前回でもお話したS上司の事だったのである。そう、胃がんで亡くなったあのS上司である。このことがわかった時、私は愕然としたし、とても複雑な気持ちにもなった。

S上司は、死後ずっと私の傍にいる事を、本当は私に気づいてほしくて、それでずっと私の傍にいたんだろうか・・・と思ったり、あるいは私のプライベートな事も、全部S上司に見られてしまったんだろうか・・・などと思い、私は本当に気にしてしまったのだ。例えば、私がトレイに行ったら、ドアのすぐ外で、霊になったS上司が立ってたかもしれないし、お風呂に入る時だってそう。脱衣場で立って見てたかもしれない。寝てる時に、目や口を少し開いて寝ているかもしれないボサボサ頭の、そんな私の姿を、(霊になった)S上司が、傍でずっと見ていたかもしれないのだ。そりゃ、ヤだよぉーーー! 相手(S上司)は異性だし。 この事を、なかなかS先生に聞くに聞けず、私は悶々としてしまったのだ。

女優の田中律子さんがあるテレビ番組で言っていたのだが、彼女は、夜熟睡すると、目が少し開いてしまい、そのまま寝てる事があるそうだ。家族に指摘されて、ご本人はその事を知ったのだという。同番組内でそれを聞いた田中義剛さん(タレントで花畑牧場代表取締役)は、死体みたいだと、笑いながらそう言っていた。「えーーー! そういう人もいるんだぁ~・・・」と私はそう思い、ちょっと驚いたが、寝ている時の事はなかなか自分ではわからない。

何巻のどのページに書いてあったかは覚えていないが、「シルバー・バーチの霊訓」によると、人は死ぬと、その人の顕在意識はその人の潜在意識に融合されると言っていた。しかし今生において生きていた時のことを、全て忘れてしまうわけではないそうだ。死後は潜在意識が優位になりながらも、地上で生きていた時の思い(顕在意識)も残り、認識しているそうだ。つまり、私たちが普段思ったり、考えたりしている日常的な意識とは違う意識が、死後、優位に立つ・・・ということのようである。

この事を、ふと思い出した私は、時間をかけてゆっくりと、悶々としたその気持ちを持ち返していった。

(完)

 カテゴリー : 霊的世界 | 投稿日 : 2017年1月16日

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